韓国の器械体操を代表するスター、ヤンハクソン選手。
数々の主要大会で金メダルを獲得し、東京オリンピックでもメダル候補として世界から注目を集めています。
今回は、ヤンハクソン選手のプロフィールと成績、貧しい家庭環境などについてご紹介します。
(トップ画像https://news.naver.comより)
ヤンハクソンのプロフィールと成績
ヤンハクソン 양학선 梁鶴善
生年月日 1992年12月6日
出身地 全羅北道高敞郡
身長 161cm
体重 58kg
家族 両親、兄
所属 YBスポーツ
ヤンハクソン選手の体操との出合いは小学校の頃。
体操の特技生だった2歳上の兄ヤンハクジンについて行った体育館で、器械体操を初めて目にしました。
幼い頃から経済的に苦しい暮らしを送っていたヤンハクソン選手にとって、多種多様な器械体操の器具で埋め尽くされた体育館はまるで遊園地のようだったといいます。
この時、ヤンハクソン選手の潜在能力を見抜いた当時の監督によって体操を始めることに。
中学生時代
光州体育中学校に進学したヤンハクソン選手は、生涯の恩師オサンボン監督に出会います。
中学2年生の頃、貧しい家庭を支えるため出稼ぎに行こうと家出したヤンハクソン選手を、オサンボン監督が直接探しに行き学校に連れ戻したそう。
学業と体操を続けることにしたヤンハクソン選手は、中学3年生で出場した全国体育大会の跳馬種目で見事優勝。
大韓体操協会による全面的な支援を受けながら、本格的に選手養成プログラムを導入しました。
この時、他の種目と並行せず跳馬だけに集中したことが、後にオリンピック金メダリストとなる成功の秘訣だったと振り返っています。
高校生時代
その後、光州体育高校3年生で出場した2010年世界体操競技選手権の跳馬種目で4位入賞。
同年広州アジア大会ではついに金メダルを獲得。
そして翌2011年東京で開かれた世界体操競技選手権でも金メダルを勝ち取り、まさに世界の舞台に彗星のごとく現れました。
オリンピック出場
2012年ロンドンオリンピックに満19歳という年齢で出場したヤンハクソン選手。韓国体操史上初めてとなる金メダルを獲得しました。
着地がやや不安定だったにもかかわらずそれを大幅に上回る素晴らしい技を見せ、その名が世界へ広く知れ渡ることに。
ヤンハクソン選手がオリンピックで披露した最高難易度の技、前転とび前方伸身宙返り3回ひねりを「ヤン・ハクソン」と命名しました。→Youtube「ヤン・ハクソン」はこの技
オリンピック後の負傷
オリンピック後も厳しいトレーニングに励み、2013年7月の夏季ユニバーシアード(カザン)、続く10月世界選手権(アントウェルペン)ではともに金メダル獲得。
2014年仁川で開催されたアジア大会では、チームと跳馬種目でそれぞれ金メダルを獲得しました。
器械体操でありながら運動靴を履いたままトレーニングをするなど体調管理を徹底していたヤンハクソン選手でしたが、2016年3月末トレーニング中にアキレス腱を負傷。
手術するほどの大怪我だったことから、2016年リオデジャネイロオリンピックへの出場は事実上不可能に。
国家代表選手として選抜されましたが、結局オリンピック開催前に無念の棄権となりました。
その後、ハムストリングや手の甲骨の負傷にも悩まされたヤンハクソン選手。
2017年にはカナダで開かれた世界体操競技選手権大会に出場し、3年ぶりとなる国際舞台への挑戦となりました。
ところが予選1位での決勝進出後、ハムストリングの負傷が悪化し棄権。
この大会で完全復帰を果たすことはできませんでした。
怪我からの復活
その後も諦めず再び世界の舞台に向けリハビリに集中して取り組み、2018年末再び韓国の国旗を胸に立ち上がりました。
2019年3月アゼルバイジャンで開催されたワールドカップシリーズで金メダルを獲得し、見事な復活を果たしたヤンハクソン選手。
そのわずか一週間後、カタールのドーハで開かれたワールドカップでは2位に圧倒的な点差をつけて見事金メダル獲得。
負傷による後遺症が心配されましたが、それを払拭するような素晴らしい競技を見せました。
ヤンハクソン選手は現在、2020年東京オリンピックという大舞台に全身全霊をかけて挑もうとしています。
貧しい家庭環境とは?
幼い頃から非常に貧しい生活を送ってきたヤンハクソン選手。
工事現場の塗装業に携わっていた父が肩を負傷し仕事を続けられなくなったことがきっかけで田舎へ引っ越し、ビニールハウスを家にして農業などで暮らしてきました。
ヤンハクソン選手は少しでも家計を支えるため、選手村で支給される訓練手当を一切使わず両親への仕送りに当ててきたそう。
2012年ロンドンオリンピック前には、
「金メダルを獲得し、両親に暖かい家で安全な暮らしをさせてあげたい」
と抱負を語っていました。
その夢は、見事金メダル獲得という快挙によって叶うことに。
韓国体操史上初となる頂点に輝いたヤンハクソン選手に、ある建設会社が光州市内で分譲中だった新築マンションの一室(約35坪)を提供したのです。
さらに別の建設会社は、ビニールハウスの裏に一軒家を新築。金メダル獲得で既に5億ウォンを贈呈していたLGグループは、新築祝いとして追加で家電製品一式を贈りました。
かつての居住空間だったビニールハウスは農機具置き場となり、両親は今も農業を営んでいます。
両親に最高の親孝行をしたヤンハクソン選手。
お母さんは「これからは郵便物がきちんと受け取れる住所ができてうれしい」と話していました。
(このときのニュース映像です。キッチンと居間しかないビニールハウスの内部と、新しい家の様子が映っています。)
金メダルにより、大韓体操協会長は政府の報奨金6000万ウォン(約600万円)とは別に報奨金1億ウォン(約1000万円)の支給を決定しました。
大手食品会社の農心がノグリという商品名のインスタントラーメンをヤンハクソン選手に生涯提供すると発表。
実は、金メダルを獲得した息子に「帰国したら大好きなノグリラーメンを作ってあげるよ」と言った母の言葉がメディアに紹介されたことがきっかけで、農心はすぐさま100箱のラーメンを両親の元へ送ったそうです。
まさにヤンハクソン選手は国民の支援によって成長した選手だと言われています。
最後に
苦しい負傷を乗り越え、世界の舞台へ見事な再起を果たしたヤンハクソン選手。
決して恵まれた環境とは言えなかった私生活が明らかになって以降、韓国国内ではヤンハクソン選手への応援の声がより一層熱くなっています。
東京オリンピックでも素晴らしい技を見せてくれるものと期待したいですね!