
ソウル・ステーション パンデミックはコン・ユ主演で2016年韓国映画興収1位となった大ヒット作「新感染 ファイナル・エクスプレス」の序章にあたる長編アニメーション。
あらすじや映画「新感染」とのつながり、感想をまとめました。
基本情報とキャスト一覧
原題:Seoul Station
2016年4月5日韓国で公開(日本では2017年9月30日公開)
上映時間:92分
監督、脚本:ヨン・サンホ
声優
【ヘスン役】シム・ウンギョン
【キウン役】イ・ジュン
【ソッキュ役】リュ・スンリョン
元々はアニメーション監督として活躍していたヨン・サンホ監督は、初めての実写映画『新感染ファイナル・エクスプレス』で観客動員数1150万人を越える大ヒットを記録しました。
その実写映画の前日譚となるのがこの長編アニメーション映画『ソウル・ステーション パンデミック』となり、実は『新感染~』の企画も本作から始まっているんです!
監督は日本の監督や映画、アニメや漫画が大好きだそうで、特に中島哲也監督や今敏監督が好きなんだとか。
他にも押井守監督に大友克洋監督、そして宮崎駿監督に影響を受けたそうで、最近は湯浅政明監督の作品に注目しているそうです。
本作はアジア太平洋映画賞2016最優秀アニメーション映画賞や、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭2016銀賞を受賞しセカイテキニモ評価を得ました。
超一流俳優が声優を務めていることでも話題となった本作ですが、ヒロイン役のシム・ウンギョンさんは『新感染~』の冒頭にも登場するなど、嬉しい繋がりを見せています。
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あらすじ
ヘスンは家出をして甲斐性のない恋人キウンと暮らしていますが、以前は生活費を稼ぐため風俗店で働いていて現在も追われる身にありました。
ダメダメな彼氏に腹をたてていたヘスンは、その日もケンカをし1人で夜の街をさまよっていました。
その頃ソウル駅では、ホームレスが血まみれで倒れた後によみがえり人を襲う、という事件が起き、襲われた人がゾンビとなり犠牲者は瞬く間に増えていったのです。
そんな状況を知ったキウンはヘスンを独り探し回り、そんな最中でヘスンの父だという男と出会い一緒に探すことになるのですが・・・。
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映画「新感染」とのつながりは?
この映画を見る上で一番意識するところといえば、やはりどう『新感染~』に繋がるのか、関係する人物が出てくるのか、そして『新感染~』では知り得なかった情報が含まれているのか、ということじゃないでしょうか。
前もって分かっていた情報でいうと本作のヒロイン・ヘソンは『新感染~』の冒頭に登場する最初の感染者であるということです。
このヘソンがどうやって感染し、どうやってソウル駅の釜山行きの列車に乗り込んだのかということ。
『新感染~』では訳もわからず突然パンデミックが始まるので列車の外で何が起こっていたのかは詳しく語られてなく、『新感染~』を見た人ならその点は誰でも気になるところではないでしょうか。
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感想と評価・評判
『新感染~』の前日譚として、始まりのドラマや色々な謎が明かされる!と期待して見たのですが、その点に関しては拍子抜けでしたね。
しかし、前日譚として見ず作品単体として見てみればよく出来ている作品だと思います。
アニメの絵柄やキャラクターデザインは日本人好みとは言えないのですが、ストーリー展開や作品の雰囲気はお見事だと言えるでしょう!
とはいえヒロインをはじめ、その彼氏や周りの人物などは弱者ばかりで、その弱者が更なる弱者をいたぶっていく感じが見ていて嫌な気分になります。
ただ、それが作品の面白みをなくしてるかというとそうではなく、ゾンビ映画でありながら強烈な社会映画でもあるわけなんです!
軍人、ホームレス、ヒロインを追う風俗店の店長など癖の強いキャラクターが登場し、人々が訳もわからずゾンビに襲われるというありえない事態の中で本性を剥き出しにしていくのが、下手なゾンビ映画より深い作品だと思いました。
個人的にはキャラクターの絵柄などは好きになれなかったのですが、アクションや人間ドラマ、スリリングな展開などは見事でしたね。
『新感染~』が好きな人全員におすすめ出来る作品とはいえないですが、人によっては本作の方がグッとくるかもしれませんよ!
まとめ:作品としてはかなり地味で絵柄も内容も陰鬱。日本のアニメとは違う社会派テイスト漂う問題作!
アニメ好きより実写映画好きにこそ楽しめる作品です。
最後に
ヒロインの声をシム・ウンギョンさんが担当していて、『新感染~』にカメオ出演していることもあり、その関連性を大いに期待して見ていたのですが、思ったほどの期待通り感はなかったものの『新感染~』では基本列車内の出来事のみしかわからなかったので、情報の補完が出来るのは間違いないですね。
見る前はソウル市内での人間とゾンビの戦いに注力したエンターテインメント作品だと思っていた分、いい意味で肩透かしを食いました。
アクションエンターテインメントが好きな人は『新感染~』を、あり得ない状況に置かれた人間ドラマを見たいなら本作がおすすめです!